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観たもの、読んだものの感想メモです。

映画「羊たちの沈黙」

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Orion/Photofest/MediaVastJapan


 

好きな映画ベストに入れたい洋画、
羊たちの沈黙」です。

 
FBIの訓練生であるクラリスジョディ・フォスター)が、

ある連続殺人事件の任務を任され、

その事件を解決するため精神病棟に措置入院している男に協力を頼み、
奇怪な事件の真相に迫っていく、という話です。
 
そしてその精神病棟に入れられている男こそが
アンソニー・ホプキンス演じる
レクター博士という元精神科医です。
 
彼はとても頭がよいのですが、
人肉嗜好という途轍もない趣味を持つ異常人物で、
病棟にほぼ隔離されるかたちで収容されています。
 


このきっかけとなる事件の真相も、不気味で面白いのですが
私が見どころと感じたのは、
レクター博士と訓練生クラリスのやり取りです。
 
レクターはクラリスに事件のヒントを与えるため
交換条件で君の事を教えてほしい、といいます。
そして彼女は自分でも気付いていなかった
(記憶の中に閉じ込めていた?)
ある奇妙な「トラウマ」を呼び起こされる事となります。
 


他のシリーズにもレクター博士として
アンソニー・ホプキンスは出演しているのですが
ジョディ・フォスターは彼女の意向で
この「羊たちの沈黙」のみの出演となりました。
 
初めに画面に映っただけであの存在感と
恐怖心を煽るレクター博士は、
本当に魅力的なキャラクターです。

優れた洞察力、頭の良さと
異常な好奇心だけで動いている人間だと感じさせます。
 


この映画タイトルの意味は、
クラリスの「トラウマ」に関係しています。
クラリスは幼い頃、羊飼いだった叔父の家である期間だけ暮らしていましたが
ある日の夜中に、羊の叫び声が聞こえ、
それにより叔父の家を飛び出して逃げたというのです。
 

この事柄に決定づけられたものはありませんが
レクター博士は、彼女が誰かを救いたい気持ち(FBI捜査官)は、
その出来事が発端ではないか、と興味を抱くようになります。
 


そして、物語の最後に、博士はクラリスに電話をかけて、尋ねます。

「羊たちの悲鳴は止んだか?」と。

 
これが映画のタイトルに意味深に響いていますよね。

沈黙はクラリスにとって良いことを
意味しているような気もするけれど、
悲鳴が止んだ後の沈黙とは
沢山の羊の死を意味する様な気もします。
 
ストーリーも秀逸ながら、この映画には気になる言い回しや
何の意図が隠されているのか、よく分からない台詞が多く出てきます。


頭のいい人たちの会話を垣間見ているという気分にさせられ、とても見ごたえのある映画だと思います。
 
 
シリーズとして、幾つかの映画が出ていますが
羊たちの沈黙」が群を抜いて、知的だと感じます。